ふたつの背中を抱きしめた



そんな浅葉家に変化が起きたのは、綜司さんが22歳の冬…1通の年賀状が届いた日のことだった。

綜司さんの療養の為、家も土地も職も手放して家族で田舎にでも引っ越そうとご両親が考えてた時だった。


「父さん、母さん。真陽が…櫻井真陽がこっちへ戻って来るんだって。僕、引っ越したくない。」


私からの年賀状を握りしめてそう訴えた綜司さんを、ご両親は驚きの眼差しで見つめた。

そして、私と再会を果たした綜司さんはまるで別人のように生気を取り戻していったと云う。


「真陽は全然変わってなかったよ。あの頃の真陽のままだった。」


そう言って、綜司さんは笑った。

貼り付いた仮面じゃない、本物の笑顔で。

何年かぶりに、ご両親の前で。


その笑顔を見て、義母様は号泣した。

何度も何度も綜司さんに謝りながら。

そして義父様と喜び、誓い合った。

今度こそ、息子に幸せになってもらおうと。




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