ふたつの背中を抱きしめた



「真陽…愛してる…愛してる。

だから、どうか僕だけの真陽でいて…」


綜司が乞う。

私を抱きしめながら。

しなやかな指を身体中に這わせ、私と云う存在を確かめるように。

強く、強く、願われる。




「ねぇ…俺、真陽が欲しいよ。真陽の全部が欲しい。全部を独り占めしたいんだ。」


柊が囁く。

私に口付けながら。

逞しい腕に私を包んで、私と云う熱を逃がさないように。

強く、強く、求められる。




毎夜のように
2人の男に狂おしいほど愛されて、私は息が出来なくなっていく。


2人を安心させたい一方で、裏切り続けている激しい罪悪感ともうこの現状から抜け出せない閉塞感。

綜司と柊、どちらの手を離しても彼等は壊れてしまうと云う恐怖。


狂おしい程に求められて求められて。

それでもどちらか一方の胸に納まることは許されない。

安息のない日々。

どちらと居ても 、居ない方の顔が浮かんで私の胸を締め付ける。


なのに、私は2人に

ただ刹那の安心しか与えられない。

この心と身体の全てを使っても。


苦しい。

誰も救えない。
誰も救われない。

苦しい。

息が、出来なくなっていく。


それでも私は

2人の手を、離せない。


今夜もまた

罪と愛が私を蝕んでいく。



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