ふたつの背中を抱きしめた
綜司さんは見開いた目で私を見つめた後、パチパチとまばたきをした。
「え、消しゴム?」
「そう。私消しゴムが欲しいな!」
雑踏に包まれてるはずの街で、何故だか2人の間に沈黙が流れる。
綜司さんは可笑しいほど目を丸くして私を見ていたけど、私は至って真剣な表情で彼を見つめた。
「…えっと…?わ、分かった。」
綜司さんが少したじろぎながら頷いた。
やった、勝った!!
私は心の中でガッツポーズした。
そして私達はこじんまりとした文房具屋さんを見つけ、よく消えそうな消しゴム(¥105なり)をひとつ買った。
その日、綜司さんは終始複雑そうな顔をしていたけど、嬉しそうに消しゴムを受け取った私を見て、もう他に何かプレゼントをするとは言わなかった。