ふたつの背中を抱きしめた



人混みに翻弄されながら辿り着いた東京駅。

複雑な駅構内を抜けた待ち合わせの場所に
綜司さんは、居た。

携帯で確認をしながら向かったので間違いは無いはず
…なんだけれども。

私は目の前のその人に声をかける勇気がなかなか出なかった。

だって
13年前に泣きじゃくっていた少年の面影はあるものの

目の前に立つその人は
大勢の人でごった返すこの駅にいる誰よりも格好良くて。

優に180センチはある長身はモデルのように脚が長くてスラリとしてて
サラサラの髪は少しだけ栗色で
整った顔立ちと相まってパッと見はまるでハーフみたいで。


カットソーにジーンズと云うラフな格好なのに
綜司さんはとても目立っていて

周囲の女の子がチラチラ見ているのが分かった。


一方の私はと云うと…


ひと言でいうと“ちんちくりん”だ。

平均よりちょっとばかし低い身長に
化粧を施しても中学生に間違われる垢抜けない顔。

お洒落のつもりで着たふんわりガーリーなワンピースも
シャープな綜司さんと並んだらきっと子供っぽさが引き立つだけで。

私はカッコいい綜司さんとちんちくりんな自分が
並んで歩く姿を想像して軽い眩暈を覚えた。

どうしよう。
帰りたい。

そう思った瞬間

「…真陽…?」

惚けたように立っていた私に気付いた綜司さんが
声をかけてきた。


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