ふたつの背中を抱きしめた
そんなワケで、私は今日も何ひとつ気負う事なく浅葉家へ向かった。
約束の時間に大きな家の門のチャイムを鳴らすと、義母様が快く出迎えてくれた。
「これ、こないだ綜司さんと式場を見に行ったホテルの菓子店で買ったんです。
義母様、フィナンシェお好きだって言ってたから。召し上がってみて下さい。
有名なパティシエなんだそうですよ。」
そう言って私が渡したお土産を義母様は嬉しそうに受け取り
「ありがとう、早速お茶を入れるわ。」
と言ってスリッパをパタパタさせながらキッチンへ向かった。
客間のソファーに私と向かい合って腰掛けた義父様は
「お休みなのにわざわざ出向いてくれてすまないね。仕事は順調かい?」
とニコニコしながら聞いてきた。
「はい、おかげさまで。」
と答えながら、私は義父様の笑顔は綜司さんに似てるなぁと思いながら眺めた。
「綜司は元気でやってる?」
そう言いながら義母様がトレーに紅茶のポットとカップを乗せて戻ってきた。
「ええ、とても。お仕事も順調みたいですし毎日楽しそうです。」
私の言葉を聞いて、義父様と義母様が目を合わせる。
そして安堵したように笑うと
「そう。良かったわ。綜司は真陽ちゃんが居てくれて本当に幸せ者ね。」
義母様はそう言って私の前に紅茶の注がれたカップを置いた。