ふたつの背中を抱きしめた
「いやー凄い雨だったわねぇ。」
夕方になり、雨に濡れた腕や髪を拭きながら交替のスタッフの矢口さんが入ってきた。
「おはようございます、まだ雨降ってますか?」
「だいぶ弱まっては来たけどね。あ、櫻井さんあがっていいわよ。柊くんも。もうすぐ他のスタッフとボランティアさんも来るし。
また雨足強くなるみたいだからその前に帰りなさい。」
矢口さんはそう言いながらパタパタともうすぐ濡れて帰ってくる子供達のためにタオルを用意し始めた。
私はタオルの準備だけ手伝うと、矢口さんのお言葉に甘えて仕事をあがる事にした。
着替えを済ませロッカーの置き傘を持って正面玄関から出ようとすると
一足先に帰ったと思った柊くんが、そこに立っていた。
私の胸が、ドキリと音をたてる。
柊くんは、目を反らす事無く私を見ていた。
「…おつかれさま…」
俯きながら小声で挨拶をし、通り過ぎようとした時
「あんたを、待ってた。」
柊くんは、いつもの子供のような強気な声で、キッパリと言った。