涙空




***


「初めまして、ええっと…、名前、佳奈ちゃん、だったよね?中学生なんだよね。いきなり驚いたでしょ?」

「…あ、え、はい」

「でも大丈夫だからね。すぐ慣れる慣れる。さすが由奈ちゃんね。娘さんを選ぶなんて」

「娘くらいしかいなかったんですよ」

「でも助かるよ」

「……」




はて。

どうして私は幼稚園にいるんだろう。いや、私は中学生です。園児ではないです。

お母さんに言われた「仕事の手伝い」って、……こういうことか。




「ごめんね佳奈、いきなり」




申し訳なさそうに眉を八の字にしたお母さん。



< 217 / 418 >

この作品をシェア

pagetop