幕末オオカミ



「楓、お前に新しい任務を与える。
潜入捜査だ」


「なんと……!!」



初めて、土方副長の言葉に心が躍った。


来たよ来たよ、潜入捜査!!



「で、どこへ?」



沖田が訝しげにたずねる。



「八木邸だ」


「えっ」



近っ。


しかも、一応新撰組の宿所なわけじゃん?



「沖田に聞いているとは思うが、俺たちはもともと芹沢一派とはあわねえ。

そして、あいつらはもののけにとり憑かれているときたもんだ。

何でもいい、あいつらの情報を集めてこい。

弱点だとか、最近の動向だとか」


「はい……!」



なるほどね、そういうことか。


つまり土方副長は、新撰組を完全に自分達だけのものにしたいんだな。


あたしだってあんな飲んだくれタヌキより、近藤先生のほうが、よっぽど局長としてふさわしいと思うもん。



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