幕末オオカミ


市中にも、隊内の監察が町人のふりをして散らばっている。


その人たちは協力してくれる店で働いていたりするので、今日はその人たちのところを回ってみようかなと思っていると……


ふと、一軒の店の前で足が止まる。



「あれは……」



それは、ある古本屋だった。


あたしには縁のないところだけど、その軒先には刀より本が似合う隊士がいた。


かたっぱしから本を手にとっては、置いていく。



「山南先生だ」



ちゃんと着物を着て、ちゃんと髷を結った山南先生。
相変わらずきちんとしてるなあ。


下を向くとメガネがずれるのか、ときどき直しながら、本を探しているみたい。


本当に勉強家なんだなあ……。


監察任務中は、隊士と関わってはいけない。


あたしは遠くから、その様子を眺めていた。


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