幕末オオカミ
店の奥から、店主が出てくる。
山南先生は親しそうに話をする。
きっとお得意さんなんだろう。
一つ二つ言葉を交わすと、山南先生は残念そうな顔でその場を去っていった。
目当ての本が見つからなかったんだろうか。
山南先生が街中に消えていったのを見計らって、あたしはその古本屋に立ち寄る。
あくまで、自然にだ。
ただ山南先生が何を見ていたか、興味があるだけなんだけどね。
軒先では店主が、散らばった本を片付けはじめていた。
「いらっしゃい」
「こんにちは」
店主が持っていたのは、何の変哲もない本たちだった。
「おっと」
うっかり肘をぶつけた店主の腕から、本が滑り落ちる。
あたしは砂がついてしまった本を、一冊拾い上げた。