幕末オオカミ


ぐ、と喉を何かがせりあがってくる感覚。


同時に、肺に痛みが走った。


来る……!



「っほ、ごほっ……」



喉に絡まったそれを吐き出すように、自然と咳が出る。


とっさに懐紙で口を覆う。


何回か咳き込むと、喉に絡まったものは、やっと外に出ていった。


どろりとした、粘りけのあるそれは、楓の唇より幾分、赤い。



「くっ、そが……っ!!」



体の異変に気づいたのは、春。


桜が満開を過ぎ、その花を落としはじめたときだった。


不意に胸に痛みを感じ、喉につまったものを吐き出した。


自分の血を見たのは、久しぶりで……。


何より、まず驚いた。





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