幕末オオカミ
「……総司のにおい」
最初に抱き上げられた時に感じた、男の汗と太陽のにおい。
背が高いから、お日様の光を他の人より吸い込むんだね。
なんだか、懐かしい……
ふんふんと鼻を鳴らすと、目の前で喉仏が動いた。
「変態か、お前は」
「うん、ごめん」
「バカじゃねぇの……」
バカでいいよ。
だって、総司の腕の中にいると、安心するんだ。
自分が、浄化されていくような気がする。
「……怖かったんだな」
「…………」
「……よく、無事で帰ってきてくれた」
本当に、幸運だった。
山南先生の特性簪がなかったら、今頃は……
考えただけで、身震いしそうだった。
それはきっと、総司も同じ。
あたしが無事じゃなかったら、たとえ切腹になろうが、桝屋を斬りふせてしまっただろう。