幕末オオカミ
念には念を入れ、通りの端から順に探索を開始し……
池田屋に着いた時は、もう深夜になっていた。
月が、あたしたちを照らす。
一足先に行って様子をみてくると言ったあたしを、近藤局長が止めた。
「もし見つかったら、大変なことになる。
一緒に踏み込んだ方がいい」
そう言って、自ら先頭に立ち、池田屋の戸を開けた。
「新撰組だ。旅客改めをしたい」
口調は穏やかだが、白地に黒いだんだら模様の羽織り──局長にしか許されない隊服──に、鎖頭巾や手袋までした、尋常ではない様子に、池田屋の主人はさっと青ざめた。
「し、新撰組……」
その視線が、一瞬宙を泳ぐのを、局長は見逃さなかった。
「二階か」
その言葉で、隊士たちは察した。
やはり、討幕派はここにいた──。