白球の彼方~君に託した夢~
「うわっ!」
『おわっ!』
草の陰から現れたのは
ここの制服の女の子。
「なんだぁービックリしたぁ。
あれ?君もしかして新一年?」
人差し指をビシッと俺に向ける女子。
先輩…か?でも今日は入学式だから先輩はいないはず。
てことは
『あ、はい。あなたもですか?』
俺は勇気を振り絞って聞いてみる。
間違ってたら俺殺されるかも…
「同じ一年生だねぇ!よろしく頼む」
『え、あ、おぅ』
差し出された右手を軽く握手する。
「それよりこんな所で何してんの?」
『あー…入学式遅刻して
入りずらいから、ずっとここにいた』
「遅刻したのアタシだけじゃないんだぁ」
そう言って女子は体育館の方を見る。
その横顔があまりにも楽しそうだったから
つい俺も体育館の方を見てしまう。