白球の彼方~君に託した夢~
「…明後日手術なんだ。」
美愛が小さな声で呟く。
『マジで?頑張れよ。応援してっから。』
「うん、ありがとう!」
『どこが悪いの?』
「クモ膜下出血、って聞いたことある?」
『あぁ、意外と有名だよな。それなの?』
「うん。小一の頃、金属バットで叩かれたくらい頭が痛くて、病院に行ったらクモ膜下出血だった。勿論緊急手術で
大変だったよ。」
苦笑いの美愛。
『発症とかあるのか?』
「あるよ。だから、それを防ぐ為に明後日手術。
でも、クモ膜下出血って突然死が多いから…
もしなったらあんま意味ないかもね。」
『でも…生きろよ。』
「…。」
『高校行けるかわかんないって言われても生きろよ。
高校行ったら絶対俺が甲子園連れてくから!』
「翔也…。」
『その前に、中学野球全国制覇するから。
お前も言ってただろ。中学で、てっぺんのぼるって。』
「うん。」
『俺が全国連れてくよ。中学も高校も。
だから俺にお前の夢をちょうだい?』