総長様はご機嫌ナナメ 〜裂空VS獄炎〜
『だい…っ、』
「今の飛鳥は、まだあの時から止まったままだ。それじゃ、俺を倒せない――[裂空]は、[獄炎]に潰されるしか道はない」
『……ッ!』
大輔のその言葉に、私は小さく息を呑んだ。
([裂空]が、潰れる……)
私のせいで?
皆の居場所が、奪われる事になっちゃうの…!?
『そ、そんなのっ……!』
「嫌なら、戦えばいい」
その言葉に、私は俯いていた顔を上げた。
「嫌なら、俺と戦え。俺から、過去から、目を逸らして逃げようとするな。
【戦わない】なんて誓い、さっさと破り捨ててしまえ」
――…見上げた大輔の表情は、夕日に遮られて見えなかったけれど
「[裂空]の人達に伝えておいてよ。敵の総長は、五十嵐雷河じゃない――復活した【悪鬼】村瀬大輔だ、ってね」
その言葉は、なんだかやけに淋しそうに、夕闇の中に響いたのだった。