夢見るゾンビ

自己紹介が始まった。

名前と出身中学、それに自分の夢を発表する。

出席番号1番くんが立ち上がり、教卓の脇に立った。

わぁ、背が高いんだ。それに・・・

私は1番くんに釘付けになる。


二重まぶたの優しそうな瞳。

浅黒い肌。

すっと通った背筋。

真新しい制服からのぞく、ちょっと筋張った手。

そして・・・

「青木颯太、峰岡中学出身です。僕の夢は、」

ちょっと低めの、ハスキーボイス。

その後、ちょっと照れくさそうに浮かべた笑顔。

「野球をやってるので、甲子園に行きたいです」

清純な高校生にふさわしい夢!

「よろしくお願いします」

礼儀正しい態度!


YES!イエス、イエス!!

私は、心臓の音が漏れないように、思わず両手を口に当てていた。

そうたくん、かっこよすぎるよ!

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