鬼の花嫁 ‐巡る季節‐





すると風神さんが

あたしの目の前に顔を持ってきて

真剣な瞳で見つめる―…





「覚悟は…いいのか?」





優しいけど、強い口調で

そう問いかけてくる。




確かに、怖い。


未知のものを体験するのは

怖くて不安で仕方ないし


事が事だから、その……

ありのままのあたしを見せるのは

死んじゃうんじゃないかってくらい

恥ずかしいし……やっぱり不安だ。



……でも、あたしは

風神さんにならいいと思える。


先に、進みたいと思うの。




「…はい」




小さく返事をすると、

風神さんはあたしの頬を撫でた。





「俺のものになって、
 俺の傍から離れないという覚悟はあるのか」

「ふふ…そんなの、
 幸せ以外の何ものでもないです」





握られた手に力が入る。



…大きな男の人の手






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