鬼の花嫁 ‐巡る季節‐






微笑みを交わし、見つめ合う。





「桜……」




そのまま口付けられ、

幸福感に包まれる。




布越しの温かさじゃなくて

肌で触れ合う風神さんの温かさ。




こんなにも大好きで、

愛しい人の体温を近くで感じられて

愛し愛されて、幸せとしか

言い表せれないでしょう……?





未知への不安も恐怖も

熱に溶かされ消えゆく中、


優しく愛しい人の腕の中で

小さく吐息を吐き出すと

ほろりと一粒の涙が瞳から零れ落ちた。







「っ…風神さん…っ」






月明かりが眩しい夜の事

あたし達は一つになった………






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