鬼の花嫁 ‐巡る季節‐
鬼の当主である風神さんは
仕事が多くていつも遅くに就寝し、
あたしより随分早くに起きる。
…だから、
風神さんの寝顔を見るのは初めて。
「寝ないとだめですよ」って注意するけど、
風神さんはどこ吹く風の如く
「鬼は人間と違って平気だ」なんて言って
あんまり休んでくれやしない。
しかし……
「可愛いなぁ…」
伏せられた瞼から伸びる睫毛は
真っ直ぐで長く、
艶のある毛穴のない綺麗な肌は
肌触りも心地よい。
少し開いた形の良い唇からは
微かに寝息が聞こえ、
枕を抱きしめて眠る姿は
可愛いとしか言いようがない。
頬をつんつんっと突いてみると
風神さんがパチッと目を覚ました。