フクロウの声
「ええ?なんだって。こんなガキがか?」
 
永倉は肩膝を立てて身を乗り出した。

「おまえが二番隊組長だから、知っておいてもらうのだ。」
 
近藤は真面目な顔つきになった途端、
場の空気が締まった。

「驚くのはそれだけじゃない。こいつは女だ。」
 
土方は難しい顔をして腕を組んだまま告げた。

「おいおいおい。こいつぁますますどういうこった。」
 
永倉は身を乗り出す。

「腕がいいので俺が拾った。」
 
土方は続けた。

「こいつは・・・マオリはこれまで
 俺たちの手が出せない殺しを請け負っていた。」

「それじゃ、白い辻斬りってのはこいつのことなのか・・・。」
 
永倉はマオリをしげしげと眺めた。

「やっぱり・・・土方さんが裏で手を引いていたんだな。
 俺たちに都合のいいやつらばかりが狙われるとは思っていたぜ。」
 
永倉は驚きつつも合点のいくところもあったようで、
乗り出していた身を戻して腕を組んだ。

「本当に女なのか?」
 
永倉はマオリにたずねた。
マオリは戸惑いながら、こくんとうなずいた。

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