フクロウの声
マオリはまたも、沖田の気配に気づくことができなかった。
突然現れた沖田を見上げる。
さきほど、枕元に薬を置いてきた人物である。
夜目にも沖田が辛そうにしているのがわかる。
「その体で戦うのは無理です。」
マオリの後ろにしゃがみこんだ沖田にマオリは言った。
「こんな時に、寝ていろなんて言わないで欲しいな。」
糸の絡んだような呼吸がマオリの背中のそばで音を立てる。
沖田は真っ直ぐ、路地の向こうを見つめている。
「斉藤を通して、平助に隊に戻るように言ったらしい。」
沖田の後ろに立っている永倉が小声で言った。
「ふうん。それでどうしたんです?」
沖田は路地から視線をそらさず聞き返した。
「断ったそうだ。」
「そうですか。」
身を固くして二人の会話を聞いていたマオリの肩で、
フクロウがピクリと動いた。
「来る。」
かすかに、遠くから駆けてくる足音が聞こえる。
マオリは刀をぐっと引き寄せた。
同じように後ろでは沖田、永倉ともすぐに抜刀できるよう構えた。
突然現れた沖田を見上げる。
さきほど、枕元に薬を置いてきた人物である。
夜目にも沖田が辛そうにしているのがわかる。
「その体で戦うのは無理です。」
マオリの後ろにしゃがみこんだ沖田にマオリは言った。
「こんな時に、寝ていろなんて言わないで欲しいな。」
糸の絡んだような呼吸がマオリの背中のそばで音を立てる。
沖田は真っ直ぐ、路地の向こうを見つめている。
「斉藤を通して、平助に隊に戻るように言ったらしい。」
沖田の後ろに立っている永倉が小声で言った。
「ふうん。それでどうしたんです?」
沖田は路地から視線をそらさず聞き返した。
「断ったそうだ。」
「そうですか。」
身を固くして二人の会話を聞いていたマオリの肩で、
フクロウがピクリと動いた。
「来る。」
かすかに、遠くから駆けてくる足音が聞こえる。
マオリは刀をぐっと引き寄せた。
同じように後ろでは沖田、永倉ともすぐに抜刀できるよう構えた。