フクロウの声
男が体勢を立て直す前に、マオリは男の右肩に刀を突きたてる。

男のうめき声が立つ。

マオリはすぐに刀を抜くと、
そのまま反転して横にいたもう一人を真正面から斬り伏せた。
 
倒れていく男の血がかからぬよう飛びのいて、
右肩を押さえながら立ち上がる男を見据えた。
 
マオリの目に金色の光が宿る。
 
ゆっくりと刀を上げる。

血の筋がつつーっと刀身を流れていく。
 
月光を携えて振り下ろした刀が男の首を飛ばした。
 
二人を仕留めたのを確認して、マオリは振り返った。
 
山崎はまだ応戦中。
やはり沖田が相手にしている人数が一番多い。
それでもすでに一人を残してあとは骸となって転がっている。
 
ひょろりとした体からは想像もつかない速さで沖田は刀を振るう。

目にも留まらぬほどの速さで繰り出される突きは、
相手の喉もと目掛けて飛んでいく。
これを三度繰り返す。
 
沖田は無表情のまま、最後の一人を倒した。
鈍い音がして、敵の男が地面にめりこむ。

ふわりと魂が抜けていく。
即死だったようだ。
 
沖田は倒した男から視線をあげた。

マオリと目があうと、白い歯を見せてにかっと笑った。

とても人を斬った直後とは思えない。
マオリは戸惑って目を逸らした。
沖田もまたマオリと同じように、ほとんど返り血を浴びていなかった。
 
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