恋猫


 「あっ、鈴さま。待たれましたか」

 淳ノ介が鈴に声を掛けた。


 「いいえ、今来た所でございます」


 鈴が胸をときめかせて淳之介を熱っぽく見詰めた。


 (ようご両人。待ってました)


 美化が二人に心の中で野次を飛ばした。


 「鈴さま、お手紙ありがとうございました」
 「こちらこそ、お返事ありがとうございました。私、嬉しくて、嬉しくて。夢かと思うほどでございました」


 鈴はぽ~と頬を桃色に染めた。


 「私もです。夢でなければと、頬を抓りたい所存でございます」
 「本当でございますか、淳ノ介さま。う・れ・し・い」


 そう言って、鈴が淳ノ介の胸に飛び込んだ。






 
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