恋猫
化身した鈴は、辺りを見渡した。
人影は無い。と、思ったら三、四歳の小さな女の子が遊んでいた。
女の子は、化身した鈴の顔を穴が開くほど、ぽか~んと口を開けて見ている。
「見たな」
ふふッーー。
にゃおオ~~ッ。
化身した鈴は、着物を捲くれ上げて両腕を伸ばし、爪を鋭く立て、物凄い形相で女の子を威嚇した。
ふふふ、ふっ。
にゃおオ~~ッ。
女の子は気が狂ったように泣き出し、泣きながら逃げて行った。
「がきだから、まあいいか。本来なら、見られたら間違いなく噛み殺すところだが・・・」
化身した鈴は、何も無かったような顔をして、また『越後屋』に向って、しゃなりしゃなりと歩き始めた。