恋猫

 鈴の父親 越後二兵衛は、娘 鈴がいないのに気が付いた。


 「鈴がいないが、どこに行ったか知らないか」


 二兵衛が女中に言った。


 「お嬢さまですか。先ほど、出掛けられましたが」

 女中が二兵衛に答えた。


 「どこに行ったのだ」
 「大社神社まで行くと、おっしゃっていましたが」


 「大社神社か。いったい何用だ」


 二兵衛が首を傾げた。


 「そこまでは、聞いていませんが」
 「すぐ番屋に出掛けて、大友様に警護を依頼してくるのだ」


 「はい、承知しました」


 女中は小走りで番屋へと向った。
 

 瓦版に鈴の似顔絵が出て以来、鈴はいろんな男から誘惑に会い、幾度か危ない目にも会っていた。







 
< 118 / 146 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop