恋猫
鈴の父親 越後二兵衛は、娘 鈴がいないのに気が付いた。
「鈴がいないが、どこに行ったか知らないか」
二兵衛が女中に言った。
「お嬢さまですか。先ほど、出掛けられましたが」
女中が二兵衛に答えた。
「どこに行ったのだ」
「大社神社まで行くと、おっしゃっていましたが」
「大社神社か。いったい何用だ」
二兵衛が首を傾げた。
「そこまでは、聞いていませんが」
「すぐ番屋に出掛けて、大友様に警護を依頼してくるのだ」
「はい、承知しました」
女中は小走りで番屋へと向った。
瓦版に鈴の似顔絵が出て以来、鈴はいろんな男から誘惑に会い、幾度か危ない目にも会っていた。