恋猫
「篠さま、そのお着物は大切な大切なお着物なんでしょう」
菊が篠の着物を見ながら呟いた。
「これですか。いいえ、そんなでも・・・」
篠が恥ずかしそうに答えた。
「新しい着物を贈り物としとうございます。篠さま受け取っていただけませんか」
淳ノ介が篠の顔を見て涼やかな目で言った。
「えっ、淳ノ介さまが・・・」
「美化の失態を大目に見て頂き、その心からのお礼と、篠さまに私が選んだ着物をぜひとも着て頂きたく思い、贈り物をしたくなりました。よかったら、二人で呉服屋に行きたいのですが、いかがですか」
淳ノ介が心に感じた事を素直に口に出した。