恋猫

 「篠さま、そのお着物は大切な大切なお着物なんでしょう」


 菊が篠の着物を見ながら呟いた。


 「これですか。いいえ、そんなでも・・・」


 篠が恥ずかしそうに答えた。


 「新しい着物を贈り物としとうございます。篠さま受け取っていただけませんか」


 淳ノ介が篠の顔を見て涼やかな目で言った。


 「えっ、淳ノ介さまが・・・」


 「美化の失態を大目に見て頂き、その心からのお礼と、篠さまに私が選んだ着物をぜひとも着て頂きたく思い、贈り物をしたくなりました。よかったら、二人で呉服屋に行きたいのですが、いかがですか」


 淳ノ介が心に感じた事を素直に口に出した。





< 16 / 146 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop