恋猫
「そういう事でしたら、喜んでお受けいたしますわ」
篠が淳ノ介を見て微笑んだ。
「そうするが良い。そうするが良い。金は私が面倒をみてやるから、安心せい。めでたい。誠にめでたい。猫が取り持つ縁で両家が結び付くとは、にゃんともめでたい」
淳ノ条が、縁談が決まったような口ぶりで饒舌に語った。
美化のひと芝居で、見合い話は美化が願わぬ方向へと上首尾に進んだ。
この後も、和やかな談笑が続き、見合いの席は大いに盛り上がった。
時があっという間に過ぎ、五谷家の3人が帰る時刻となった。
「そろそろ、御いとま致しましょうか」
沢が夫 蔵乃進の顔を見た。
「そうじゃな。そろそろ、いとまするといたそうか」
蔵乃進が相槌を打った。
「大変お世話に成りました。長い時刻、お邪魔いたしました。これにて失礼致します」
篠と父母の二人は、丁重に礼を述べると、帰宅の途に着いた。