恋猫

 ぺろぺろぺろり。


 美化は、赤い長い舌を何度も、何度も、出したり入れたりして赤い篠の血を舐めた。
 美化が篠の血を舐め終わる頃、篠は息絶えた。


 美化の口の回りには、篠の血がべちょ~と付いていた。
 美化は、その血を長い舌でぺろりと拭った。



 儀式は終わった。


 
 篠になる為の儀式は、滞りなく終わった。
 美化は篠の屍を見詰めた。


 「篠さん、悪く思わないでね。あんたが美人過ぎるから、淳ノ介さまに気に入られるから、こうなるんだよ。後は、任せてね。淳ノ介さまとねんごろになって、大いに楽しんでやるからね。暫くあんたの肉体を借りるわよ。その代わり、あんたの肉体には、とびっきりええ目を見させてあげるからね」


 美化は、無言で篠の屍に語り掛けた。


 「あばよ」


 美化は右手で敬礼をすると、楓家の屋敷に向って歩き始めた。






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