恋猫
「いい考えが浮びましたわ。着付けは、この店の女将さんに手伝いをお願い致します」
「女将さんに着付けの手伝いを。さて、引き受けてもらいますかね。駄目なら、その時は、ここを出ましょう。分かりましたね。篠さま」
淳ノ介は、もうその気が失せていた。
「分かりました。でも、女将さんが引き受けて下されば、その時は話が違いますよね。では、行って参ります」
戸の鍵を開け、外へ出ると、篠は疾風(はやて)のように、女将さんがいる一階へ疾風した。 その速い事、速い事。まるで、猫のようであった。
篠は、女将さんを捉まえた。
「女将さん、一生の頼みを聞いて頂けますか」
篠が女将に単刀直入に。
「何だねえ、一生の頼みとは」
女将が篠に尋ねた。