恋猫
「着付けを手伝って欲しいのです。私、着物をひとたび脱げば、ひとりで着る事が出来ないのです」
「何~だ。そう言う事ですか。よござんす。あたいが着せてしんぜましょう」
女将は快く篠の申し出を承諾した。
篠は喜び勇んで二階へ上がった。
「近頃は、武家の娘と言っても、着物もひとりで着る事は出来ないのかね。本当に情ないね」
女将は、二階に目をやりながら大きな溜息を一つ付いた。
「引き受けてくださいました」
篠は部屋に入るなり満面笑みで、淳ノ介にこの事を伝えた。
「ああ、そうですか」
淳ノ介の愛想の無い返事。
「さあ、淳ノ介さま。早く」
さっさと着物を脱ぎ、長襦袢姿になると、篠は布団の中へ。