恋猫

 後日。

 尚八郎と、銀次は、出会い茶屋に出向き、証言の裏を取った。


 女将は、二人の事が余程印象に残っていたのか、良く記憶に残っていた。


 女将の証言は、あらかた、淳ノ介の証言の通りであった。ただ、付け加えた点があった。
 それは、篠が自分で着物を着る事が出来ず、女将が着付けを手伝ったという事であった。


 「近頃の武家の娘は、自分で着付けも出来ないんですよ。呆れましたよ」


 呆れた顔で女将が、尚八郎にぼやいた。
 女将からの証言を聞き終わり、尚八郎と銀次の二人は、出会い茶屋を出て橋の上を歩いていた。


 「それにしても、わからねえ事件だぜ」

 「仏の喉の噛み傷といい、猫のような足跡といい、獣が関連しているのか、それとも・・・」

 「屋敷まで送り届けたものが、突然消えて死体となっている。それにしても、解せねえ。幾ら考えても解せねえ」


 川を見ながら溜息交じりに尚八郎が呟いた。それから、その事件は、尚八郎が解せないまま、迷宮入りとなった。


 数日後、尚八郎と、銀次は、汗を垂らして別の事件を追っていた。





 
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