恋猫

 美化は、篠の死体が見つかって以来、落ち着かない日々を過ごしていた。


 淳ノ介を思う気持ちに制御が掛からなくなり、篠を噛み殺して篠に化身をしたが、思いを遂げ冷静になってみると、後悔の連続。篠への悪かった、という思いが日増しに強くなり、懺悔の気持ちで、自分で自分を責める日々が続いていた。


 その上、岡引たちが派手に嗅ぎ回り、下手人として上げられる不安が、不安を呼び、がんじがらめに恐怖心が自分の胸を締め付ける。


 「あ~、やだ。やだ。やだ」


 「こんな事は、金輪際やめた~と」
と、いう考えと、もう一方の思いが、大喧嘩。


 その思いとは、


 「もう一度、淳之介さまに抱かれたい」


 「あの情熱の秘め事を、もう一度だけ味わいたい」
と、いうもの。






 
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