恋猫

 屋敷に戻ると、美化は瓦版を口に咥えて淳ノ介の部屋に行った。
 淳ノ介が美化の口に咥えられた瓦版を、珍しい物でも見るような目でじっと見詰めている。


 「美化、いったい何を咥えているんだ」


 淳ノ介が美化に言った。
 美化は、淳ノ介が興味を持った事ににんまりしながら、淳ノ介のそばまで瓦版を持って行った。


 「何だ。瓦版じゃないか」


 淳ノ介が、美化が口に咥えている瓦版を手に取った。


 「何が書かれているというのだ」


 「何々。お江戸一のとびきり美人。葵小町に見合いが殺到か。最近の瓦版は、美人の見合いまで取り上げているのか」


 淳ノ介は、瓦版の一部分を読んで呆れた顔をしている。


 しゃしゃッ。


 美化が瓦版の美人の似顔絵を、爪で引っ掻いた。そして、淳ノ介の注意を瓦版の似顔絵に向けた。





 
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