恋猫

 淳ノ介の目が何気なく瓦版の文字を追った。そこには-薬問屋『越後屋』のひとり娘 鈴-と、書いてあるではないか。


 「あっ、瓦版に書いてある評判の娘は、ここにいるのか。美化、お前それで私をここに連れて来たのか」


 やっと、淳ノ介は美化の意図が読めた。


 うん、うん。


 美化が大きく二度頷いた。
 淳ノ介が暖簾越しに店内を覗いた。


 たくさんの客が、店の者から薬草を求めているのが、外にいる淳ノ介にも良く分かった。相当この店は、繁盛しているらしい。


 「世の中には、本当に病人が多いのだな」


 淳ノ介が感心しながら独り言を呟いた。そして、目を下に落とした。





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