恋猫

 鈴が美化の後から小走りで追い掛けて来た。


 暖簾の外には、少し離れた所で、淳ノ介が美化を探していた。
 淳ノ介が美化を見つけた。


 「あっ、美化!いったいどこに行っていたんだ」


 「随分、探したんだぞ」


 淳ノ介が急いで美化を抱き上げた。
 その瞬間に、淳ノ介が持っていた瓦版が、下にひらひらと落ちて行った。


 「ああっ、瓦版が・・・」


 淳ノ介が美化を抱いたまま、しゃがんで瓦版を拾おうとした。
 その時、雪のように白い女性の手が瓦版を、淳ノ介より先に摑んだ。







 
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