恋猫
淳ノ介が白い手の先を見詰めた。
瓦版を摑んだのは、鈴だった。
二人の目と目がぴたっと合った。
二人はしゃがんだまま見詰め合った。
一瞬、時が止まった。
二人は、見詰め合ったまま瞬きもしない。
その時は、一瞬のようであり、永遠のようでもあった。
にゃお~。
美化の鳴き声が、二人を強力に結び付けている磁力を寸断した。
二人が我に返った。
「あッ、美化!」
「あっ、猫ちゃん」
二人は同時に声を上げ、また互いを見詰め合った。
先ほどの続きが、またまた始まった。
にゃお、にゃお~・・・いやになるよ・・・にゃおお~。
美化が鳴き声を上げながら、淳ノ介の腕の中からするりと通りへ脱出した。