恋猫

 七つ下がり(午後4時過ぎ)


 見合い相手が両親と共に、しなしなとおしとやかに現れた。



 「な、ななななな―――なななななんと、相手は絶世の美女」




 「しかも、お茶、お花、お琴、料理・・・と、才色兼備の超難敵」
 「神も仏もいないのか」


 美化は篠を廊下の隅からチラッと見て、思わず仰け反った。そして、彼女の評判の高さを小耳に入れ、神と仏を心底呪った。


 「畜生!これじゃ、淳ノ介さまが気に入ってしまう」
 「どうしよう」
 「どうしたらいいのだ」


 美化は歯軋りをきりきりと噛んで困り果てた。


 見合いの席では、楓家の当主である父 淳ノ条、母 菊、そして、淳ノ介が神妙に席に付く。
 相手方は、五谷家の当主 蔵乃進、その妻 沢 次女 篠が、これまた神妙な面持ちで席に付いた。






 
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