いつか見る青
「そうですよ、葵さん。私は家事をするという契約でこちらに置いていただいているんですから、どうかお気になさらず。私一人ではどうしても手が回らない時などは、遠慮なくご相談させていただきますから」


その言葉に深く頷くと、神崎さんは続けた。


「それでは民さん、とても美味しいお料理、ごちそうさまでした。今日はこの辺で失礼いたします」


「ええ。またぜひいらして下さいね。あ、門はいつものように閉じておいていただけますか?」


「了解です。では、葵さん、行きましょうか」


そのまま神崎さんにやさしく背中を押される。


戸惑いながら食堂の戸口を抜けて廊下に出た所で、思わずギョっとした。


紫叔父さんが腕を組み、ドアの近くの壁に背をもたれさせて立っていたからだ。


そういや叔父さんがいつ席を立ったのか記憶にないけど……。


「お前ああいうの、やめろよな」


「え……」


「民さんは仕事として家事をしてんだよ。そして仕事には流れってもんがあんの。その流れを妨げられるような事をされると、すっげー迷惑なわけ」
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