いつか見る青
『あ、車のとこまで一緒に行った方が良かったかな』


遅ればせながら気が付いて、慌てて靴箱を開けてスニーカーを取り出したけれど、車のドアを開閉する音、次いでエンジンをかける音がドア越しに聞こえて来たので、『今さら行っても意味ないか』と思い直し、スニーカーを元の位置に戻した。


とりあえず、自分の部屋に行こう……。


あ、お風呂とか何時ごろ入るべきなのか、あとで民さんに確認しなくちゃ。


階段を登りながら考える。


ふと、心細さはいつの間にか成りを潜め、それどころか妙に心が浮き立っている自分に気がついた。


そしてすぐにそれは、神崎さんと交わした約束のおかげだと自覚する。


私は基本人見知りで、あまり話慣れてない人と二人きりになると妙に緊張しちゃってそれが相手にも伝わって、とても気まずい雰囲気になってしまうんだけど、不思議と神崎さんにはそういう苦手意識は湧いてこなかった。


むしろ、もっともっと一緒にいたいというか……。


ほどなくして自室にたどり着き、私はそのままクローゼットへと近づいた。
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