いつか見る青
まだ早朝というのに加え、敷地内に植えられている様々な木々によるマイナスイオン効果なのか、空気がとても澄んでいてひんやりとしていた。



まるで避暑地の別荘にでも来ているような清々しさだ。


深呼吸しながら進むうちに、建物の東側に位置する、芝生が敷き詰められているスペースへと到着する。


とても手入れの行き届いている、青々とした立派な芝生だった。


しかもそこはドッジボールが余裕でできるくらいの広さがある。


都内で、しかも個人の住宅なのに、こんな公園みたいな庭があるなんてホント信じられない光景だ。


その空間を囲むように種類の違う木が何本も植えられていて、その中に一際背の高い、枝ぶりの良い木があった。


木登りして遊ぶには最適だな、なんて思わず童心に帰った感想を抱いてしまう。


って、そんな場合じゃなかったんだよね。


黒のポロシャツとベージュのスラックス姿のおじいちゃんは私に背を向ける格好で、テラスのテーブルの上に置いてあるラジカセから流れて来る音楽に合わせて体を動かしていた。
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