いつか見る青
私は促されるままに高田親子に近付き、正面のソファーに腰を降ろす。


民さんが「冷たいお飲み物お持ちしますね」と言いながらリビングを出て行くのと同時に、今日子さんはトークを再開した。


「一週間くらい、息子がお世話になるからよろしくね。親戚でもないのに図々しいんだけど。あ、私達の事は聞いてる?」


「はい。えっと、祖父のお友達のご家族という事で……」


玄関で靴を発見した時から予想はついていたけど、今の言葉で確信が持てた。


「そうなの。うちの父親と美山のおじ様が高校時代からの親友でね。お互いが結婚してからも交流が続いていて、私も小さい頃からこのお屋敷にはお邪魔してたんだけど」


そこで今日子さんはふいに、イタズラっ子のような笑みを浮かべた。


「それでね、何をかくそう私、あなたのお父さんの婚約者だったのよ」


「えっ」


突然の告白に、私は度肝を抜かれた。


「あ、でもね、誤解のないように言っておくけど、婚約者とは言っても、当人同士はいたって軽いノリだったのよ」


朗らかな口調で今日子さんは続ける。
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