いつか見る青
「うん、そうなの。ほら、学校って、歯科検診の結果を夏休み前に渡すじゃない?で、虫歯がある子の親は、なるべく休みの間に治療を終わらせようと思ってその期間に集中して予約を入れる訳よ」


「そういえばそうですね」


甘い物はほとんど食べないしきちんと歯磨きもしていたので、幸い私は虫歯になった事はないけど、その時期必ずクラスメートの何人かは要治療の紙をもらっていた。


「だからいつも夏休みはてんてこ舞いの忙しさでさぁー。子どもの時から両親の働く姿は見ていたんだから家の事情は把握していたつもりだったんだけど、イザ自分が診る立場になったら、予想以上のハードさだったのよね」


「特に今日子さんのご実家は、とても腕が良いと評判の歯医者さんですものね」


その時、飲み物の乗ったトレイを手に、民さんがリビングへと入って来た。


「旦那様も定期的に診ていただいているんですが、夏休みに限らず、いつも患者さんでいっぱいらしくて」


「ええ。その点はありがたいとは思ってるんだけど」


今日子さんは苦笑しつつ続けた。
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