いつか見る青
約束通りキリの良い所まで来たので終わらせたのか、それともその気がなくなったからなのかは分からないけれど。


「結局瑠璃さんを守れないまま……。ううん。それどころか、おじ様達との関係を最悪にさせて碧君はこの世を去ってしまった。結婚して普通に子供を産むだけだって、女性にはかなりの精神的、肉体的負担がかかるんですからね。それなのにそんなゴタゴタに巻き込んで、あげくに一人ぼっちにさせて。葵ちゃんが産まれるまで瑠璃さん、どれだけ心細かったことか……」


そこで今日子さんは口をつぐんだ。


途端にその場が静寂に包まれる。


この空間は普段はこんなにも静かだったんだ、とぼんやりと思うのと同時に、今日子さんは緊張している私の心を読み取って、この場を和ませ、盛り上げてくれていた事を、今さらながらに認識した。


かなり長く感じられたけれど、その時間は多分ほんの数十秒の事だっただろう。


今日子さんは軽くふっ、と息を吐くと、おもむろに沈黙を破った。


「……ごめんなさいね。あなたのお父さんの悪口言っちゃって」


「いえ。何だか、嬉しいです」


「嬉しい?」


「はい」
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