いつか見る青
「あの」


未来君は、それまでソファーに預けていた背を起こしながら続けた。


「葵さんの方が年上なんですから、敬語なんか使わなくて良いですよ」


「え?そ、そう?」


私はちょっと考えてから、笑顔を浮かべつつ返答した。


「分かった。それじゃあ、未来君の方も……」


「いえ。俺は年下ですし、敬語の方が楽なんで、このままでいかせてもらいます」


みなまで言わせずキッパリと宣言され、笑顔のまま固まってしまった私から視線を逸らすと、未来君はおもむろに立ち上がり、ソファーの後ろ側へと回りながら民さんに問い掛けた。


「部屋の方は、もう使わせていただいて大丈夫ですか?」


「あ、はい。準備できておりますよ」


「いつものとこですよね?荷物置いて来ます。それと、夕飯までちょっと勉強したいんですけど」


「ええ、どうぞ。ご自由にお過ごし下さいな。お時間になりましたらお呼びいたしますから」


「ありがとうございます。それじゃあ、お言葉に甘えて」


未来君は床に置いておいたらしい旅行鞄をヒョイと持ち上げ肩に掛けながら、私に向かって言葉を発した。
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