いつか見る青
言いながら、私は立ち上がり、未来君が座っていたソファーに近付く。


そして、ひじ掛け付近に転がっていたそれを手に取り、彼に向かって差し出した。


「はい。ゲーム機、忘れてるよ」


「え?あ、すみません」


大して慌てた様子もなく引き返して来ると、未来君は私の手からゲーム機を受け取った。


「大切な物、無くしちゃ大変だもんね」


「大切?」


私の言葉に、未来君はキョトンとしている。


まさかそんなリアクションをされるとは思ってなかったので、今度は私の方がキョトンとしつつ、何とか返答した。


「うん……。だって、これ、宝物でしょ?」


あんなに熱中してプレイしてたんだもんね。


未来君は無言でじっと私を見つめたあと、ふいに【ふっ】と笑みを浮かべながら囁いた。


「面白い人ですね、葵さんて……」


「へ!?」


「ありがとうございました。それじゃあまた、後ほど」


謎の言葉を残したまま、未来君はリビングを出て行く。


……ここまでの会話で、私のユーモアセンスが計れる箇所が、どこかにあっただろうか?
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