いつか見る青
「途中、手こずってはいたようですがね。でも、さすがプロですよね。我々素人では、きっといまだにたどり着けなかったでしょう」


「私がもっと早めに手を打っていれば、瑠璃さんに無理をさせずに済んだし、あんな事には……」


おじいちゃんのその言葉に、一瞬その場が静寂に包まれる。


「……でも、葵さんとは無事会えたではないですか」


穏やかな口調で神崎さんが言葉を発した。


「奥様と葵さんの対面は間に合います。ひとまずは、その幸運に感謝する事にいたしましょう」


「……ああ、そうだな」


そのやり取りを見ていて、私はとても感動してしまった。


まだ若いだろうに、神崎さんてホントすごい人だ。


自分の親くらい……もしくはそれ以上年の離れている人を、こんなに自然に励ます事ができるなんて。


私なんて、どうして良いか分からずにただオロオロしてしまうだけなのに。


言葉に力があるというのは、きっと神崎さんの天性の魅力だと思う。


弁護士だからそうなったんじゃなくて、言葉で人を救う事ができるから、神様が神崎さんを弁護士の職へと導いたんだろう。
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