××倶楽部

 奈美が、淳一見損なったー、と冷たく声をあげても淳一は智にちょっかいを出していて届かない。

 だから今日は李花が来てなかったんだと頭の片隅で考えながらも、奈美の、はぁ、というため息を聞き逃さなかった。


「私、淳一のこと好きだったのにな……」


 誰にも聞こえないくらい小さな声。奈美はケチャップにフライドポテトを突っ込んだ。


「うん、そうだね。中学の時からだっけ?」


「そうだよ、ずーっと淳一だけが好きだった。金髪に染めたりしてバカなことばっかしてたけど、淳一は李花一途だった。

 私、何回も何回も別れろー別れろーて呪いかけてたのにさ」

 奈美は眉間に皺を寄せて、何か得体の知れない念力みたいなものを飛ばす仕草をする。


「李花は友達なのに、最低だよね……でもデキ婚とかきかされて納得したよ。気持ちにもストンとピリオドがうたれたかんじ」


「そっか、おめでとうって言ってあげられる?」


「それは、また別問題」


 アハハと笑って、奈美は、この話おしまい。と言った。



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