××倶楽部
「芽依ちゃん。アナタ仕事はよくできてるみたいだから、余計なこと考えないで仕事だけ頑張りなさいね。
マーベラスの経営状態は聖夜の力ですごくいいから、その辺の企業に勤めるよりずっといいお給料もらえるわよ」
「はい」
スリッパを揃えて、負け犬退散。私に尻尾があったなら、しゅんと下を向いちゃってる。
────「おはようございます! 町田さん」
社長はいつも通りの眩い笑顔で私を迎えてくれた。
「お、おはようございます」
それがあまりに自然すぎて、キスのこと……深く考えてるのは私だけなんだ。
どうして何もなかったような顔ができるんだろう。
やっぱり、こんなに優しくて素敵な人だけどSM倶楽部の社長だもん。キスなんて深く考えてないんだ……大切にしてくれると思ったのに。
「町田さん、昨日からハヅキさんと連絡とれないんですけど、何か聞いてますか?」
社長は難しい顔をしてアンドロイドとにらめっこをしている。
「ハヅキさんですか? いえ、私は何も聞いてません。すみません」
「謝らないでください。実は昨日も無断欠勤してまして、電話はずっと話し中だし、メールも返事が来ないんですよー。
リオさんにも心当たりをあたってもらってるんですけど……心配で」