××倶楽部

 こんにちわ、と明るい声で噂好きの主婦のハートを一瞬でキャッチしてから事情を話はじめた。


「心配で様子を見に来たんですけど、何かかわったことはありましたか?」


 主婦たちは完全に目の中にハートマークを泳がせた。


 私たちどうかしら、あはは、そういえばあまりご近所付き合いしない方よね、うふふ、そんなことより草原さんはどちらの社長さんなんですか? 私たち一度遊びに行かせてください、おほほほほ…………と逆ナンされちゃってるし。


「あの、彼女を最後に見かけたのはいつかだけでもわかりませんか?」


 埒があかない。私は勇気を振り絞って、社長と主婦たちの間に右足から飛び込んだ。


 案の定、何よこの女、と睨まれる。


 急に不機嫌になった主婦たちは、むっと押し黙ってしまった。


「そう言えば、今朝男といるの見たわ……ゴミだしに行ったら、朝からケバい格好で男と肩組んで歩いてた。たまにその男といるから、彼氏よね。それより、草原さんは……」


 ってことは、ハヅキ様は生きてる!


「社長!」

「はい、良かったです。お話聞かせてくれてありがとうございました」


 社長は嬉しそうに主婦たちに頭を下げると、私を連れてロールス・ロイスに乗り込んだ。






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